ぼくにげちゃうよ レビュー
『ぼくにげちゃうよ』を読んだワケ
これまた、雑誌MOEの1月号に「愛されているということ」を実感できる絵本として、紹介されていたものです。
一人称が「ぼく」だったので、お母さんと息子の絵本なのかな、と想像すると、息子にも読んであげたくなりました。
かあさんうさぎと向かい合っている表紙の絵が、なんとも優しげで、タイトルの「ぼくにげちゃうよ 」も子どもがお母さんの愛を試しているようで、とても愛らしいなと心惹かれました。
『ぼくにげちゃうよ』の魅力
想像の世界で繰り返される、こうさぎとかあさんうさぎのやりとり
ある日、こうさぎはいえをでて、どこかへいってみたくなり、「ぼくにげちゃうよ」とかあさんうさぎに言います。
かあさんうさぎが、「おまえが にげたら、かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」と言うと、「かあさんが おいかけてきたら、ぼくは、おがわのさかなになって、およいでいっちゃうよ」と返します。
すると、かあさんうさぎは、「おまえが おがわの さかなになるのなら、かあさんは、りょうしになって、おまえを つりあげますよ。」と言うのです。
こうして、親子のやり取りが始まります。
こうさぎが、あれこれと逃げ方を考えては、かあさんうさぎも想像の世界で我が子を追いかけるのです。
「逃げる」、「追いかける」、「逃げる」、「追いかける」と繰り返されるのが、謎かけ、またはとんちのようで、とても楽しいです。
「ぼくはこんなことまでして、にげられるんだ、かあさんはどうする?」と毎回問いかけられるのに対して、「うまい!」と思える切り返しをしていくかあさんうさぎが、とても誇らしくも感じます。
読んでいて、息子がこうさぎを応援しているのかは分かりませんが、私は密かに、かあさんうさぎを応援しています。
かあさんうさぎの愛
どんな姿になってでも、子どもを追いかけていくかあさんうさぎ。
こどもからしたら、うざったいと思うところもあるかもしれませんが、つねに我が子の側に寄り添おうとするかあさんうさぎの愛は、読者の心を打つと思います。
私は、特に、こうさぎがことりになって飛んでいったのを、木になって、とまりにかえってくるのを待っているかあさんうさぎの絵が大好きです。
私もいつか、こんな風に、巣立とうとがんばる息子の止まり木になりたいと、感じるのです。
実のところ、絵本を読む前、息子とケンカしていたのですが、この物語を読んだ後、自然に仲直りができました。
それは、「ぼくにげちゃうよ 」がもたらす愛の力だと信じます。
ラストの展開
最後こうさぎは、人間の子どもになって、逃げようとするのですが、人間のお母さんとして追いかけてくるかあさんうさぎを想像して、それならかあさんのこどもでいるのと同じだということに気づきます。
そうして、逃げるのをやめるのです。
やっぱりぼくはかあさんうさぎの子だな、と思えるこのラストをつくったマーガレット・W・ブラウン、すばらしいです!
不変の愛のラストでした。
親子で絵本トーク
「実際に読みたい!」方へのご案内
親子で愛を感じてみませんか⭐
0 件のコメント:
コメントを投稿